判定結果の読み方

 

1.「仕事の量的負担−仕事のコントロール」判定図

・判定図上に記号で示されている標準集団の値(これまでの調査における平均値)とくらべて、この職場の仕事量と仕事のコントロールの特徴を判定します。仕事量が高いほど、また仕事のコントロールが低いほど、仕事上のストレスが生じやすい環境にあると考えられます。

・同じ性別、年齢でも、職種によって仕事の量的負担と仕事のコントロールの平均点は異なります。判定図では、おおよその目安としてこれまでの調査で得られたそれぞれの職種の平均点をプロットしてありますので、判定の参考にしてください。

・判定図上の斜線は、仕事のストレスの特徴から予想される心理的ストレス反応や検査の異常値、病気の発生などの健康問題の危険度(健康リスク)を、標準集団の平均を100とした数値で示しています。120のライン上に平均点が位置する職場では健康問題が20%多めに、80のライン上では、20%少なく発生すると推定されます。

・職場の平均点がどのライン上に乗っているかから、健康リスクの数値を読みとってください。点がラインとラインの間に位置している場合には、中間値を読みとってください。平均点が100のラインと120のラインの間で、120のラインからラインの間の距離の1/4だけ100のラインに近い場合は、115[=120-(120-100)÷4]と読みとります。この判定図では、点が右下にあるほど仕事のストレスが高く、健康問題が起きやすいと予想されます。得られた値が、仕事の量的荷重と仕事のコントロールの組み合わせから予想されるその職場の「仕事のストレスによる健康リスク」となります。

 

2.「上司の支援−同僚の支援」判定図

・判定図に記号で示されている標準集団の値とくらべて、この職場における上司の支援および同僚の支援の特徴を判断します。上司の支援あるいは同僚の支援が低いほど、仕事上のストレスが生じやすい環境にあると考えられます。

・「仕事の量的荷重と仕事のコントロール」判定図と同様に、この職場の平均点が判定図のどの斜線(ライン)上に乗っているかを見て、健康リスクの数値を読みとります。平均点がラインとラインの間に位置している場合には、中間値を読みとってください。得られた値が、上司の支援および同僚の支援の組み合わせから予想される「健康リスク」の値となります。

 

3.総合した健康リスクの計算

・「仕事の量的荷重と仕事のコントロール」判定図で読みとった健康リスクと、「職場の支援」判定図で読みとった健康リスクを総合して、この職場の仕事のストレスによる健康リスクを計算するには、この2つの健康リスクをかけ算し、100で割ります。例えば量と自由度判定図で110、職場の支援判定図で120の値が得られている場合には、総合した健康リスクは132(=110×120÷100)となります。

・判定図から得られた健康リスクは、現在の職場の仕事のストレス要因が、どの程度従業員の健康に影響を与える可能性があるかの目安となるものです。健康リスクがいくつを越えれば対策が必要かという基準はありませんが、現状よりも健康リスクを少しでも低下させる努力が必要です。例えば健康リスク120は、従業員のストレス反応(ゆううつや不安)、医療費、疾病休業が通常の20%増しと予想される状態です。対策によって健康リスクを100(平均程度)あるいはさらに改善できれば、従業員、事業所および健康保険組合にとって大きな利益があると予想されます。健康リスクが150を越えたケースでは健康問題が顕在化している例が多く、早急な改善が必要な状態と思われます。

・健康リスクを低下させるために、職場環境、作業内容あるいは職場組織の改善によって仕事のストレス要因を減少することが必要です。特に、判定図において標準集団よりも問題である(仕事の量的荷重の場合はより多い場合、その他の場合はより低い場合)ことがわかった要因について対策を進めることがポイントになります。