事業所のストレス・メンタルヘルス対策の進め方


1.事業所ごとにストレス・メンタルヘルス対策を立案する

・事業所ごとに自らの事業所のストレス・メンタルヘルス対策に自主的に取り組むことが大切です。

・まず、事業所として労働者のストレス・メンタルヘルス対策に積極的、継続的に取り組むことを表明します。

・ストレス・メンタルヘルス対策のための組織づくりを行ないます。事業所内の労働者、管理監督者、産業保健スタッフの役割をそれぞれ定めるとともに、事業所外の専門機関(産業保健推進センターや地域産業保健センター、保健所や精神保健福祉センター、医療機関、民間サービス機関など)との連携について考えておきましょう。

・事業所としてのストレス・メンタルヘルス対策の目標を設定しましょう。「全管理職に教育・研修を実施する」、「従業員のストレスの訴えを10%減らす」等、具体的な目標をたてるのがよいです。

2.ストレス・メンタルヘルス対策4つの柱を考慮した計画をたてる

 ストレス・メンタルヘルス対策の計画・実施事項には、4つの活動があります。事業所の現状やニーズを考慮しながら、これら4つがバランスよく実施できるように計画をたてるのがよいです。

3.ストレス対策を実施し、評価・改善する

 ・労働者、管理監督者、産業保健スタッフがそれぞれの役割を果たしながら、相互に、また社外の専門機関と協力してストレス対策を実施しましょう。ストレス対策の進め方については必ず見直しを行ない、不具合を改善し、また不足な点を追加するなどして、ストレス対策をより効果的で充実したものになるよう継続的に努力します。

 ・例えば「相談室を社内に設けたが利用者が誰もいない」といった声がよく聞かれます。これは対策の評価がきちんと行なわれていないか、あるいは改善につながっていない好例です。利用者が少ないようであれば、どうしたらより気軽に利用してもらえるようになるか工夫し改善することが必要です。

4.できるところから始める。

 ・まずできるところ、身近なところからはじめましょう。「明るい職場づくり」をテーマとしたり、労働者に対する教育や研修、職場環境の改善や休憩室の設置など快適職場づくりに類する活動、運動会やハイキングなどレクリエーション活動の開催からもストレス対策はスタートできます。

 ・社内にメンタルヘルスの専門スタッフがいない事業所でも、社内に産業保健スタッフがいない事業所でも、ストレス・メンタルヘルス対策は実施できます。


事業所のストレス・メンタルヘルス対策の実施例

 

・ある電機メーカーでは、生産ラインの人間工学的デザインを女性のサイズに合わせて見なおしたところ、女性労働者の疲労や自覚症状が減少し、生産性がアップした。

・ある半導体製造ラインでは、夜勤から日勤への引継ぎが十分できるように交替勤務のスケジュールを改善したところ、労働者の仕事の負担感が低下し疾病休業日数が減少した。

・ある製造組み立てラインでは、マシントラブルに細かく対応できるように小グループごとに権限をもったサブリーダーを設置したところ、労働者の疲労やストレスの自覚症状および疾病休業日数が減少した。

・ある通信機器メーカーでは、管理監督者向けメンタルヘルス教育・研修を全管理職に実施したところ、労働者の疲労やストレスなどの自覚症状が減少し、上司からのサポートが増加した。

・ある重機メーカーでは、管理監督者全員に心理相談担当者が部下の精神的問題への気づきと対処法、社内の相談窓口への相談方法について教育・研修を実施し、うつ病の早期発見を円滑に行なっている。